「それでジーンの為に貯金をしてるの。
もう少しなのよ。手術代までね。13歳になったら受けられるわ」
「それで、”父に送金してる”って言ってたの?」
「私には父はいないの。その名前も嘘」
「それで、内職までして貯金してたんだね。全てはジーンの手術の為に」
「私が悪いの」
「どうして?」
「最初から分かってたの。遺伝するって。なのに産んだのよ」
「君は強い人だよ」
「強くないわ」
「工場で働いていた時にね、よくミュージカルを空想してたの。
ミュージカルでは、恐ろしい事は何も起きないわ」
「どうしてジーンを産んだんだ?遺伝すると分かってたのに」
「赤ちゃんを抱きたかったの。 私の腕に」
「愛してるよ」
【ダンサー・イン・ザ・ダーク(Dancer in the Dark)】
監督 ラース・フォン・トリアー
脚本 ラース・フォン・トリアー
製作 ヴィベク・ウィンドレフ
製作総指揮 ペーター・オールベック・ヤンセン
出演者 ビョーク デヴィッド・モース ピーター・ストーメア
カトリーヌ・ドヌーヴ
【ダンサー・イン・ザ・ダーク(Dancer in the Dark) のあらすじ】
1960年代、アメリカの片田舎。
チェコからやってきたセルマ(ビョーク)は、女手一つで息子ジーン(ヴラディカ・コスティク)を育てながら工場で働いている。
セルマは遺伝性の病気のため視力を失いつつあり、ジーンも手術を受けないと同じ運命をたどるのだが、それを秘密にしつつ、手術費用をこつこつ貯めていた。
彼女の生きがいはミュージカル。
アマチュア劇団で稽古をしたり、仕事帰りに友人のキャシー(カトリーヌ・ドヌーヴ)とハリウッドのミュージカル映画を観ることを唯一の楽しみとしていた。
しかしセルマの視力は日増しに弱くなり、ついには仕事のミスが重なり工場をクビに。
しかもジーンの手術代として貯めていた金を、親切にしてくれていたはずの警察官ビル(デイヴィッド・モース)に盗まれてしまう。
セルマはビルに金を返すように迫り、もみ合っているうちに拳銃でビルが死んでしまった。
やがてセルマは殺人犯として逮捕され、裁判にかけられる。
しかしセルマはジーンを守るため、またビルが妻に内緒で破産していたという秘密を隠し通すため、法廷でも真実を語ろうとはしない。
そしてジーンが目の手術を無事受けることだけを願いつつ、自分は絞首台で死んでいくのであった。 (goo映画より)